脳とテクノロジーが直結する未来:BCIの進化がもたらす可能性
- Yuki Sakai
- 8月12日
- 読了時間: 2分

まるで「思っただけで機械が動く」かのような未来的な技術が、少しずつ現実のものとなり始めています。
BCI(Brain-Computer Interface:脳-コンピューター インターフェース)は、脳の活動を直接デバイス(コンピューター)に伝え、指や四肢を使わずに、時には自分でも意識できていない無意識の意思や感情を反映してデバイスの制御を可能にする、脳情報を仲介する技術(インターフェース)です。もともとは医療・福祉分野における補助技術として発展してきましたが、ここ数年でその応用領域は一気に広がりを見せています。
たとえば、四肢麻痺のある方が思考だけでロボットアームを動かして生活の一部の動作を可能にしたり、あるいはVR空間内でのナビゲーションを脳波で操作するといった事例は、すでに実証段階に入っています。また、集中力やストレス状態のリアルタイムなモニタリングとフィードバックを活用することで、教育・スポーツ・メンタルヘルス領域への応用も加速しています。
では、なぜ今、BCIがこれほど注目を集めているのでしょうか。
その背景には、計測技術・解析技術の急速な進化があります。これまで高価かつ複雑だった脳波測定や信号処理は、より軽量でリアルタイムに扱えるようになり、個人単位での活用が視野に入ってきました。ひと昔、1950年頃の脳波計のアンプ(信号増幅器)は、大人の身長よりも高い、いわば500L程度の冷蔵庫程度の大きさがありました。それが、2020年代になって、品質によって大小異なるものの、名刺程度の大きさにまで小さくなっています。
もちろん、BCIの進化には倫理的・社会的な課題も伴います。脳活動という極めて個人的なデータを扱う以上、プライバシー保護やデータガバナンスは避けて通れません。私たちはその技術的な可能性に興奮する一方で、「どう使うか」「誰が何のために使うか」といった問いに向き合い続ける必要があります。ただ脳を読み取るのではなく、感性や価値観といった人間らしさを理解するための手段として——。
思考とテクノロジーが交差する最前線で、「つながること」の意味を問い直す。
そんな時代が、すぐそこまで来ているのかもしれません。
Xiberlincでも、脳波や生体信号に基づくBCIの精度検証や指標開発を通じて、研究開発から実用化までをつなぐ取り組みを行っています。こうしたBCIの発展に伴い、心(Psi:サイ)と社会(Community:コミュニティ)を繋ぐ(Link:リンク)新しいインターフェースのあり方を模索しています。これは当社の社名(Xiberlinc:ザイバーリンク)にも反映されています(参考:会社概要)。